コラム
シリコンバック豊胸を受けるにあたり、避けては通れない「サイズ選び」のポイントついて解説。
《Motiva®(モティバ)について》
まず当院で主に使用しているシリコンインプラント、Motiva®Ergonomix2(モティバ エルゴノミクス2)についてかんたんに。。
今では日本国内の自費診療の豊胸分野で最もシェアの高い製品となっているMotiva(モティバ)ですが、製造しているのはEstablishment Labs社という企業で、製造拠点はコスタリカにあります。南米ですね!
ですので、正確にはMotiva(モティバ)というのは社名ではなくシリーズの製品名になります。「トヨタ」の「プリウス」のようなものですね。
Ergonomix2(エルゴノミクス2)があるということは以前のモデルも存在します。Ergonomix(エルゴノミクス)という名称になりますが2が市場に流通したのはつい2.3年前のこと。意外と最近の事ですね。
新旧の違いはいくつもありますが、主には耐久性、流動性になります。
より破損を起こしにくく、寝た時は横に流れる、起きた時は下側に重心が偏り、自然な乳房と近い形状をErgonomix2では再現しています。
この辺りは一般的な美容クリニックのHpに記載がありますので、さらっといきます。
Ergonomix2
Ergonomix
《サイズ表の解説》
シリコンインプラントのサイズ(何ccというボリューム)は、高さ(プロジェクション)×横幅(直径)によって決まります。
下図の赤線が直径、黄色線がプロジェクションです。
上記のサイズ表を右にいけば高さが高くなり、下にいけば直径が大きくなるということです。
ですので、表の左上が一番小さいサイズ、右下が一番大きいサイズとなります。1060㏄!などの、とてつもなく大きいサイズも存在しますが、Motiva(モティバ)は海外の製品ですので、日本人だけに向けて作られた製品ではなく、体格の大きな人種にも適応できるサイズ展開となっています。
黄色がプロジェクション、赤が直径
《プロジェクション(高さ)について》
プロジェクション(高さ)には4種類あり、低いものから
MINI(ミニ)→DEMI(デミ)→FULL(フル)→CORSE(コース)の順となっています。
とにかくなんでもいいからとにかくボリュームを大きくしたい!シリコン感満載!の仕上がりを希望される方は非常に少数派で、「なるべくナチュラルに」、「自分にあったサイズを」と要望される患者様の方が圧倒的に多いのです。
ですので、日本人の体型にはMINI、DEMIが適してると私は考えます。
実際のモニター患者様のお写真に、それぞれのプロジェクションを書き込んでみました。(あくまでイメージです😓)
プロジェクションが高くなればなるほど、始まりの角度が急になるため、元々の乳房の形態に沿わず、シリコンインプラントと自分の組織の境界がくっきりとわかりやすくなってしまうのです。デコルテの乳腺組織(厚み)が薄い部分までシリコンインプラントがいってしまうと、カバーする組織がないため、ボールが2つ!ザ・豊胸しました!的な仕上がりとなります。正面から見た際のY字の谷間にもなりやすいとも考えます。
ですので、なるべくナチュラルな仕上がりを希望される患者様には、私はMINI(ミニ)をお勧めしています。
これはあくまで私見ですが、MINIという名称から、どうしても患者様にインプラントサイズが「小さい」という印象を与えてしまいます。MINIというのはあくまでプロジェクションのお話で、ボリューム自体は大きいものも存在します。(サイズ表の一番左の列になります)
Ergonomix3が出る時には、(出るんか知らんけどw)せめてLow、Highなどの表記に変更してほしいな…と思っています( ノД`)
ここまで、プロジェクションについて述べましたが、直径も非常に重要な要素となります。
《直径について》
実際のモニター患者の症例写真で解説していきます。
私は普段、患者様のバストを診察する際に、こういった見方をしています。

170㎝ 58Kg Motiva Ergonomix2(モティバ エルゴノミクス2) DEMI295cc
まず正中線(赤の実線、鎖骨の中心とおへそを結んだライン)を書き、次にその方の乳腺があるであろう位置をマーキング(赤の点線)します。だいたいの方は真ん丸ではなく、このような形をしていることが多いです。この時に、アンダーの位置、乳頭のポジションに左右差がないかなどもチェックします。この方だと黄色の実線がアンダーの位置となります。
大きな左右差はありません。
この黄色線の長さ(幅)がその方が持っている「余白」になります。この余白の長さに関しては、その方が太っているとか痩せているというお話ではなく、胸郭(骨格のフレーム)のサイズと解釈してください。一概には言えませんが、身長が高い方ほど「余白」は長く取れやすい傾向にあります。
この方はDEMI(デミ)295㏄という比較的大きなサイズを入れていますが、あまりシリコン感は出ていないと思います。(あくまで私見)
正中(真ん中)はギリギリまで剥離を行い、なるべく綺麗な谷間を作れるようにしますが、ここが限界。という地点が必ずあります。バストが2つである以上、限界を超えて真ん中に向かって剥離をすると、おっ〇いが1つになってしまいます(´;ω;`)
ではどうするか??
外側(わき腹)方向に剥離を行い、スペースを作ります。
患者様のご要望により、胴体のラインに収まるような形を希望される方もいらっしゃれば、少しはみ出るような仕上がりを希望される方もおられます。
あまり「余白」が余り過ぎるのも良くないですし、逆にきつすぎるのも良くありません。
そこはよく相談の上、決定する必要があります。
あとは縦方向の収まりも非常に重要な要素となります。
アンダーの位置の全く変えずに直径の大きなインプラントを入れてしまうと、膨らみ(インプラント)の中心に乳頭が来ず、豊胸したのに「マッチョに見える」仕上がりとなってしまいます。(このあたりの調整方法に関しては、長くなりますのでまた別の機会にご説明いたします。)
このように、その方のお体を細かくメジャーで計測していくとおのずと、サイズは絞られてきます。
その方の術前の状態(身長、体重、授乳歴、乳腺皮下脂肪の厚みなど)により異なりますが、シンプルに説明すると、『ナチュラルな仕上がりを希望されるならMINI』、『ボリューム重視ならDEMI』という選択になります。
《カップ数について》
術前、術後でどのぐらい、カップ数に変化があるのか??
豊胸を検討されている患者様には非常に関心のある事だと思います。
これに関しては昔から言われていることですが、1Cup =約100㏄と考えて下されば、大きな相違はないかと思います。
2Cupなら200㏄、3Cupなら300㏄といった具合です。
ただし、私は下着のサイズに関しては、出来れば、「ぼんやりと」考えてくださいと説明します。なぜなら、下着メーカーによりサイズ感はバラバラであることが多いからです。下着のサイズはトップとアンダーの差で測ることが多いため、カップ数だけを稼ごうと思えば、プロジェクションの高ーーい!インプラントを入れるといいでしょうということになります。ただしロケットのような仕上がりとなり、インプラントの輪郭も浮きまくります。。
これでは手術後の満足度はダダ下がりとなってしまうのです。
これだけ書いても、まだ迷うって??( ;∀;)
なら、とっておきの方法があります!(これまた古典的ではありますが…)
当院では、実際のインプラントを下着の下に入れてみて着衣の状態を見てみることをお勧めしています。
だいたいここで、MINIにするかDEMIがいいのか、患者様の意見がはっきりと出ます。正確には体に入れているわけではないので若干の隙間はあいていますが、着衣のイメージは概ね合っています。
全身がうつる鏡で見ることで体型とのバランスも確認できます。
この確認のために、カウンセリングの際は普段着られているお洋服、パットなしの下着でお越しいただけるとイメージがつきやすいと思います。
《おまけ》
同じボリューム(250㏄)のインプラントでも異なる形が存在しますので、ボリュームだけで判断することはよくありません。
上から見るとMINIの方が直径が大きい
プロジェクションはDEMIの方が高い
今度は同じ直径での比較になります。
共に直径11㎝ですがプロジェクションが変わるとボリュームが変わります。
共に直径は11㎝
プロジェクションの違いにより50㏄の差が生まれる
《まとめ》
豊胸手術の仕上がりというのは、一般の患者様にとって、なかなか結果がイメージしづらいものだと思います。目の前に入れるインプラントをポンっと置かれても、どうなるの?とご不安な気持ちはよーく理解できます。
ですので当院ではなるべく一人の患者様に時間をかけ、あの手この手でイメージを共有してもらおうとしています。
小さな個人クリニックだからこそできる小回りの利く診療を心がけています。